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ゾフルーザ(新たな抗インフルエンザ薬)とは?

東京都の感染症定点観測によると、今年1月末までのインフルエンザの患者数は過去最多とのことで、雨が少なく乾燥した天気もかなり影響しているようです。

さらに直近5週間のウイルス検出状況では、これまで流行の主流だったA型H1pdm09が50%、もうひとつのA香港型が49%とほぼ半数で、2種類のA型が流行している珍しい状況です。

クリニックでは今週に入りインフルエンザ検査の陽性率は徐々に低くなってきており、少しピークを過ぎたような感もありますが、インフルエンザに2度感染する可能性も高く、まだ流行には十分注意が必要です!

昨年3月に発売された抗インフルエンザ薬の新薬ゾフルーザ((バロキサビル マルボキシル)に関する話題が最近ありました。この薬は1回服用するだけでよいことから、今シーズンは全国的に65%程度の処方率と他の抗インフルエンザ薬よりもかなり多く処方されています。

日本小児科学会の感染症対策委員会では、今シーズンのインフルエンザ治療方針を以下のように出していました。

♦タミフル(オセルタミビル)、♦リレンザ(ザナミビル)、♦イナビル(ラニナビル)、♦ラピアクタ(ペラミビル)

タミフル(オセルタミビル)は、平成29年3月から生後2週以上の新生児から投薬可能となりました。

新薬であるゾフルーザに関しては、まだ国内の十分なデータを持っていないため、推奨することに関しては検討中となっています。

先日、横浜市が毎週患者数報告と同時に行っている患者検体からのインフルエンザウイルス検査で、一般社会でインフルエンザに感染した患者さん(12月にインフルエンザA型に感染した小学生)の検体から、ゾフルーザ感受性低下ウイルス(ゾフルーザが効きにくい変異ウイルス)が初めて確認されたと報告がありました。

このニュースで、ゾフルーザは効果がなく、インフルエンザが重症化するのでは、などと懸念する保護者の方から頻繁に質問を受けるようになりました。

日本感染症学会インフルエンザ委員会では、昨年10月に「ゾフルーザはノイラミニダーゼ阻害薬(イナビル、タミフル)とは異なった作用機序でインフルエンザ増殖を抑えるので、ノイラミニダーゼ阻害薬耐性ウイルスにも有効と考えられる。臨床的な有効性、罹病期間の短縮はタミフル(オセルタナビル)と同等だが、1回の内服で治療が出来るので、利便性が高く、さらにウイルス感染価を早期に大幅に低下させるので、治療効果と同時に、周囲への感染防止効果も得られる可能性がある」。

「しかしながら、国内治験の段階で小児で23.3%、成人で9.7%と変異ウイルスが高率にみられている。変異ウイルスのゾフルーザに対する感受性が50倍程度低下するが、臨床効果への影響、周囲への感染性は、現在のところ不明である。今後の臨床症例を蓄積して、当薬剤の位置づけを決めていく必要がある」と提言していました。

今のことろ、ゾフルーザに対する耐性ウイルスが今後高頻度に出現する可能性や臨床効果への影響は不明ですが、小児も成人も、問題となるような副作用の報告はありません。

当クリニックでは希望の方へはゾフルーザを処方していますが、今のところはほぼすべての方でしっかりと効果が認められています。

ゾフルーザ耐性ウイルスは、増殖能力が弱く、人から人への感染力も弱いと言われていますが、耐性ウイルスを出来るだけ増やさないためにも、他の抗インフルエンザ薬と上手に使い分けることが重要だと思います。

今後、ゾフルーザの効果や副作用などに関する新たなデータ報告を注意深く見守りたいと思います。

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